角膜腫瘍②
これも角膜潰瘍ですが、外傷等の原因ではありません。角膜の中心部分より徐々に周囲へ融解が広がっていきました。老齢性の無痛性潰瘍と思われ、角膜に血管新生並びに浮腫も起こし、視力が著しく低下した状態です。一般的な角膜保護剤の点眼では反応が乏しいです。おそらく三叉神経麻痺によるもので、人においては星状神経ブロックや神経鞘腫などの術後においても発生をみます。
この症例も瞬膜を用いた外科的処置を行い抜糸直後の写真です。この時点で角膜の透明性がかなり出ていますが、このように早い治癒自体が通常の外傷等による角膜潰瘍とは異なるところです。
抜糸数週間後の写真です。点眼、内服処置を行い、中心より右側で瘢痕が残っていますが他の部位はほとんどきれいになっています。この症例は通常見る単純な角膜潰瘍では無いので、治癒後の経過観察も必要です。
角膜潰瘍の中でも重度の潰瘍でデスメ膜瘤という症例です。
中心部分が今にもはじけそうなくらい薄く前方に突出しています。実際手術時の消毒を行っている時点で破けました。
約1ヶ月後の写真です。
中心部分に肉芽(白い部分)を付かせることでフタを感じです。今後はこの肉芽を減らすように目薬をしていきます。
画像のピントがイマイチですが、術前と術後で目の光沢が違うのがはっきり分かります。というのも、この子はベースにドライアイがあり、そのため角膜潰瘍が重症化しました。潰瘍とドライアイの治療を併用することが不可欠です。
老齢性の角膜変性症
高齢のわんちゃんが増えてきたため、このような角膜が白くなってしまう病気の子をよく見かけます(白内障とも角膜ジストロフィーとも違います)。