眼の表面に傷(角膜潰瘍①)
角膜潰瘍①
治療法として
内科的
1.点眼薬による治療;
2.コンタクトレンズの装着;
外科的
1.眼瞼(まぶた)の縮小または閉眼
2.結膜を用いたフラップ
3.第3眼瞼を用いたフラップ
4.コラーゲンでできたコンタクトフラップ
5.角膜移植
上記のように色々な治療方法がありますが、ポイントとしては点眼治療で3日以内に改善が見られない時は要注意です。長くても2週間以内に治癒しない場合はよくある一時的な角膜の傷ではない可能性が高いです。重度角膜潰瘍は他院からの紹介や転院が非常に多く、それら全てが難治性の治りにくい症例です。
外科的方法でよく用いられる術式として結膜フラップがあります。眼球内の感染の疑いがあるときは眼球の観察ができるためメリットがあるが、角膜の傷以外の部分が正常でないと縫合がうまくいかないというデメリットもあります。
当院ホームページに載せている角膜潰瘍の写真を見て分かるように、たいてい角膜全体が問題を起こしており、角膜に縫合を行うことができないことが多いです。そのため当院で角膜潰瘍の手術を行う場合、たいていは第3眼瞼という膜を用いたフラップすることが多いです。この手術のメリットは角膜に縫合糸をかけないため新たな傷を作らない、角膜全体にフラップができるため血管がない角膜に栄養を行き渡らせることができるなど、メリットが多い手術です。
他院にて数ヶ月の点眼治療を行うが改善が見られなかった症例です。
約2週間後
更に2週間後
角膜自体治ろうとして、血管新生や肉が形成を起こします。そこから今度は行き過ぎた治癒状態を元に戻すように目薬を変更することで綺麗になっていきます。通常は角膜潰瘍に対して禁忌の薬品でも状態によっては使う必要がある例です。
これは非常に重度の角膜潰瘍になっている猫です。
角膜に血管が360°進入しており、角膜中央部分の2/3が透明性を失い変性している状態です。
眼球内の構造が全く観察でない状態であり、点眼やコンタクトによる角膜保護で治癒できるレベルではありませんので、外科的に治療を行いました。
抜糸後1週間くらいの写真です。
まだ角膜欠損が分かりますが、四方から進入していた血管が大分減少して周辺部分の透明性が戻ってきて、虹彩が見えてきました。
この症例も猫です。
元々ヘルペスウイルスの感染があり、このような痛々しい角膜潰瘍を繰り返していました。
1ヶ月ほどでここまで回復しました。
この後も継続治療が必要です。